しかしながら、近年に至り、市場の構造が大きく様相を転じてきた。様相の変化はさまざまに説明されるところであるが、要点を絞って問題を還元すれば、従来の製品や役務(サービス)についての市場が消滅しつつあるという事実に行き着く。迎合すべき市場が無きところ、市場迎合型開発手法は意味をなさない。ここで誤謬を恐れずに言うと、日本がここまで未曾有の経済発展を達成することができた理由は、この迎合できる市場が現に存在し、その市場に巧みに迎合してきたからに他ならない。それが「made
in Japan」というトレードマークの意味するところであったのである。このような市場構造の変質を自覚することなく、従来の市場迎合型開発手法を踏襲し続けることは、何らの問題も解決しないだけでなく、場合によっては企業経営そのものを危うくすることになる。
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