同時代のパリに生きた日本人画家に佐伯祐三(1898〜1928)がいる。大阪に生まれた佐伯は1924年渡仏、フォーヴィスム(野獣派)の画家、ヴラマンクに出会う。ヴラマンクから自らの作風を「アカデミック」と批判されてからは画風を一変させ荒々しいタッチで描いた。ユトリロにも影響を受け、パリ裏街の店先や広告などが書かれた壁をモチーフにして個性的な風景画を生み出すが、心身を病み1928年8月16日、異郷パリにて30年の短い生涯を閉じている。パリの街角や近郊の美しい村落を重厚な色彩と激しい筆致で表現、熱情のなかに郷愁をふくんだ佐伯の作品は、今なお多くの人の心を魅了する。
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