未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
予測不能な時代〜その対処法とは
前回(
第1000回
)では予測不能な時代の本質である「論理性から非論理性」に向けての社会構造の変質を考えた。ではその予測不能な時代にどのように対処したらよいのであろうか?
再び株式トレードでの勝者と敗者の構図に基づいて考えてみる。前回述べた「95%の敗者がよかれと考える売買手法が間違いで、5%の勝者が考える売買手法が正しい」ということは、別の視点で考えれば「95%の敗者がよかれと考える売買の方程式そのものが、5%の勝者にとってみれば勝利の方程式の源泉となっている」ということである。95%の敗者が採用する方程式とは論理的思考であるから5%の勝者が狙っている方程式とはその逆の非論理的思考となる。
同様に米国のトランプ大統領が行おうとしているさまざまな非論理的政策やツイッターから放たれる非論理的暴言の数々はその非論理的な方程式から考え出されたものであるからして、これらの政策や暴言に対抗するためには論理性の根拠となる「思考」をしないことである。逆に思考すればするほどトランプ氏に有利に作用してしまう。
考えることが害多く益少ないとすれば、ではどうすればいいのか?
ひとつの方法としては「論理性の基礎となっている因果律的な方法から非論理性に基づいた超因果律的な方法への転換」である。
因果律的な方法の源泉は「創造」であり、超因果律的な方法の源泉は「発見」である。しかしてその創造の源泉は「能動的思考」であり、その発見の源泉は「受動的観察」である。したがって予測不能な時代の対処法のポイントは「能動的思考」から「受動的観察」への転換である。
「超因果律的な世界」は心理学者、ユングが提唱した「共時性的目的論」で語られる世界であり、その中心課題は「意味ある符号」の啓示である。意味ある符号との遭遇(発見)は「受動的観察」を旨とする。依って予測不能な時代の対処法とは「作為することなくただ眺めることで遭遇(発見)する意味ある符号の啓示に素直にしたがえばよい」という無為自然に帰着する。
2017.01.26
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