菅平、峰の原高原に咲くレンゲツツジを撮ろうと上田から菅平を目指した。せっかく来たのだからと菅平の入り口にある「唐沢の滝」に寄ってみた。鮮やかな緑の空間の中で、瀑布は轟音を響かせて今日もまた時の流れを拒むかのように岩壁を落下していた。しばし眺めたあと、峰の原に向かう。高原は濃霧に包まれていて、まさに五里霧中、前照灯をONしても視界はきかず、スピードは落ちるばかりである。行けども行けども晴れる兆しはなく、目当てのレンゲツツジがどこにあるのかもわからない。ときどき霧の中から路傍に咲くその「朱色の花」がボーッと浮かんでくるだけで、とても撮影するどころの状況ではない。もはや霧に浮かんだ幻想のレンゲツツジの印象を脳裏に刻んで、車をUターンさせるしか他に、行く道はなかった。
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