未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
伊那谷 中川村の赤そば畑 / 長野県上伊那郡中川村
赤き血潮
白色のそばの花はここでは赤く咲く。話は1987年、信州大学の氏原暉男教授(当時)が、ヒマラヤの標高 3,800mに咲く、赤い花のそばを日本に持ち帰ったところから始まる。信州大学の農場に蒔いてはみたものの薄い色の花しか咲かない。その後の度重なる品種改良、ようようにして真紅の花が咲くそばを作りだしたのである。その赤いそばは「高嶺ルビー」と称される。
かくしてヒマラヤの高嶺で咲いた赤い花は、中央アルプスと南アルプスに抱かれた伊那谷、「日本で最も美しい村」と言われる中川村の地に根付き、その永遠の生命を授かる天恵を得たのである。かく見れば、赤いそばの花は新生日本の「赤き血潮」のように感じられる。
2011.9
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