Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
Linear

湯の丸高原 池の平湿原 / 長野県東御市新張湯の丸
天上の楽園
 東御市の東山麓につけられた急坂の山岳道路を駆け上ると湯の丸高原、地蔵峠に至る。地蔵峠を右折して林道をさらに登るとやがて池の平湿原となる。山麓を登るうちは晴れていたのだが湿原に至る頃には霧雨が降るあいにくの空模様となってしまった。駐車場に車をとめて傘を片手に湿原に向かう。
 池の平湿原は標高2000m、数万年前に活動した三方ヶ峰火山の火口原に広がる高層湿原である。温暖な里山から、一気に標高2000m超の山頂へと至る急峻な地形であるとともに、内陸性気候と相まって、昼夜の気温差、年間の気温差が大きく、里山に生息する動植物から、本来は3000m級の山岳地帯に見られる高山性の動植物までが混在し “ 天上の楽園 ” を形成している。
 湿原につけられた遊歩道を周遊すると、まさにその言葉どうり、ヤナギラン、マツムシソウ、リンドウ、ワレモコウなどの草花が咲きほこり、その周りには高山蝶や蜂などの昆虫が飛び交っていた。その様はまさに大自然が内蔵する豊饒なる生態系の世界そのものであった。
2011.8

copyright © Squarenet