Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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巣栗渓谷 / 長野県上田市武石
さもありなん
 武石アジサイ公園を後にして武石川を遡り巣栗渓谷に至る。晴れていた空は次第に曇り、お仙が淵に到着する頃には雨がぽつぽつ落ちてきた。徒歩で渓流に降りることは断念し、さらに車で上流に遡り小さなダム湖に至った。カットはそのダム湖の湖影である。駐車場近くの看板には「熊出没注意」の警告があったが、ダム堤体の上で見たのは甲羅干しをしていた1匹の「大きな蛇」であった。看板の警告が「蛇出没注意」とあった場合、私をしていったいどちらが「嫌なのであろうか」と愚にもつかぬことを考えながら撮影をしたのだが、後に以下の「お仙が淵伝説」を知るにおよび「さもありなん」と納得したのである。
お仙が淵伝説
 むかしむかし、武石の村のどこからともなく3人の姉弟がやってきて住み着くようになった。姉をお仙といい、上の弟を庄兵衛、下の弟を金次郎といった。 ところがこの3人が住み着くようになってから、にわとりなどの家畜が頻繁に盗まれるようになり、後にはきまって大蛇のうろこが落ちていた。犯人は、この3姉弟で大蛇の化身であった。この大蛇を殺して、たたりがあってはならぬと、3人をそれぞれの神様に祭って封じ込めることにした。姉のお仙を今のお仙ヶ淵に、弟の庄兵衛を築地原のしょうぶ池に、金次郎を権現の金次郎池に祭り、1年に1回お祭りをすることになった。それからは家畜が襲われることもなくなったという。
2011.8

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