白根山に来たのは今回で3度目になる。最初に訪れたのは30年以上昔にさかのぼるが、風景は当時と少しも変わっていない。それは地球の原始をかいま見るような、近代文明に慣れ親しんだ人間にとっては、知らず畏敬の念で茫然自失してしまうような、風景である。標高2161mの活火山。エメラルドグリーンに染まった火口湖の湯釜(直径300m、水深30m)を南の山頂から撮影する。以前は、湯釜をすぐ足下に見おろせる地点まで行けたのであるが、現在はその湯釜を遠くに眺める地点までしか近づけない。ちなみに湯釜の水質はPH1〜2の濃度で、魚も住めないほどの強度の酸性湖であって、それは世界一であるという。
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