未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
能生海岸 / 新潟県糸魚川市能生小泊
磯の香り
長野県、白馬山麓から一気に海抜 0m、日本海に面する新潟県、糸魚川をめざす。やはり夏は「海」なのである。白馬から糸魚川までは40分ほどで行き着く。かっては姫川沿いの崩れ落ちそうな細い崖道を右往左往して、長い時間をかけてようやく行き着いたものであるが、現在では道路は整備され、危険を感じることなく、快適に走行することができる。
この海を見るのは何年ぶりであろうか・・・糸魚川の街を突っ切って、海岸道路にぶつかると右折して、能生の海岸をめざした。途中海が見える小さな漁港で車を駐めてドアを開けると、焼け付くような暑さがどっと押し寄せ、ギラギラした強烈な陽射しで目がくらむようであった。しかし漂う磯の香りは、久方ぶりに出逢う海浜の情緒を思い出させてくれた。
さらに走行するうち、左手に岩礁に渡された赤い橋桁が視界に入ってきたが、そこが厳島神社が祀られた弁天岩であり、また能生の海水浴場であることを、私の記憶は覚えてはいなかった。気づいたのは車をUターンさせた帰路のことであり、時すでに遅しであった。
結局。立ち寄った道の駅「マリンドリーム能生」の裏手に設けられた、風車のある広場からの日本海が気に入り、撮影することにしたのである。夏のにぎわいを間近にひかえた紺青の海原が、紺碧の空の下、穏やかに広がっている。視界が良好であったならば、その紺青と紺碧が溶け合うあたりに、佐渡の島影がとらえられるはずであった。
2010.7
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