Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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白馬五竜 / 長野県北安曇郡白馬村神城
幸せの鐘
 北アルプス後立山連峰、五竜岳から派生した遠見尾根を下ると神城にたどり着く。拙書、小説「暁光」では、この地が重要な役割を担った。遡る35年程も前のことである。
 訪れた五竜高原は、続いた豪雨の後にやって来た「酷暑」の中にあった。ベース施設である「エスカルプラザ」の前庭で、緑なす山麓を背景に、「幸せの丘」と呼ばれる小さな丘の上に立つ、「幸せの鐘」を撮影する。「恋人の聖地」として、ここで挙行される結婚式では、この幸せの鐘が、高原に鳴り響くのだという。
 トレッキングウェアに身を包み、リュックを背負った中年夫婦が、標高1500メートルにある「白馬五竜高山植物園」に向かうゴンドラリフト「テレキャビン」の発着駅、「とおみ駅」をめざして行きすぎて行く。そして先ほどからは、工夫をこらした自作の鳥形模型飛行機や凧などを操る、仲良し2人組が、無心に、そして子供のごとく無邪気に、別世界に遊んでいる。Tシャツの背中には「職人魂」とあった。避暑地といえど、私の額からは汗がとどまることなく流れ落ちている。
2010.7

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