真楽寺は586年、浅間山の噴火が鎮まることを祈願して建立された1400年の歴史をもつ古刹である。この地にこのような大寺があることは最近知ったことであり、来てみてさらに知らなかったことを不思議にさえ思えた。茅葺き屋根の仁王門をくぐると昼なお暗い杉木立に囲まれた参道となり、右手に浅間山の伏流水を満々とたたえた「大沼の池」が霊気を秘めて静寂の中に沈んでいる。正面の長い石段を登りつめると開けた台地となり、観音堂と、右手奥には「三重の塔」が樹齢千余年の神代杉を背景として佇み、境内西方の丘の上には、高さ20メートル、東洋一の「子育地蔵菩薩」が、日盛りの中に立ち尽くしていた。寺域全山深閑として音なし。梢で騒ぐ野鳥のさえずりのみが、かろうじて刻の流れを伝えている。
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