畑にはなんでも植えてあります。
ナス、キュウリ、トマト、カボチャ、スイカ・・・。
そのとき体が欲しがるものを好きなように食べてきました。
質素なものばかり食べていたのが長寿につながったとしたら、
それはお金がなかったからできたのです。貧乏はありがたいことです。
雪が降ると山と里 の境がなくなり、どこも白一色になります。 山の奥にあるご先祖様たちの住むあの世と、里のこの世の境がなくなって、
どちらがどちらだかわからなくなるのが冬です。
春、夏、秋、冬。
はっきりしていた山と里の境が少しずつ消えてゆき、一年がめぐります。
人の一生と同じなのだと、この歳にしてしみじみ気がつきました。
お盆になると亡くなった人たちが阿弥陀堂にたくさんやってきます。
迎え火を焚いてお迎えし、眠くなるまで話をします。
話しているうちに、自分がこの世の者なのか、あの世の者なのか分からなくなります。
もう少し若かった頃はこんなことはなかったのです。
恐くはありません。
夢のようで、このまま醒めなければいいと思ったりします。
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