未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
身曾岐神社 / 山梨県北杜市小淵沢町
幽玄
・・・身曾岐神社の身曾岐(みそぎ)とは「きれい」になることであり、古来日本人は何事も「きれい」「きたない」を考え方の根本に据え、西洋の「善悪思想」と異なり、たとえ仕事で失敗しても、大きな災難が降りかかっても、ある期間、しっかりとみそいで、真新しく「きれい」になれば、また新たな人生を踏み出せると考える・・・とのことである。
神楽殿にあたる能楽殿はすべて木曽ヒノキが使用され、本舞台・橋掛・鏡の間・貴人席という能舞台に必要な要素を完備し、本舞台を中心に羽を広げた鳳凰のようなバランスに配されている。舞台正面、鏡板に描かれた老松は、文化勲章受章者、故守屋多々志画伯(1912〜2003)が描いたものであり、日本一の能舞台として、能楽界でも「一度は演じてみたい舞台」としての声が高いという。
訪れた日は毎年8月3日の大祭の宵宮として「八ヶ岳薪能」が開催される前日であり、準備万端整った状態の能楽殿を拝することができたが、折しも到着とともに激しい降雨となってしまった。しばし待つうちに雨は小降りとなり、カット映像は陽が射した瞬間をとらえて撮影したものである。能狂言など一度として見たことはないが、宵闇の中、篝火で照らし出された能楽殿と池面を舞台に演じられる宴はさぞかし幽玄で幻想的なものであろうと想像した。
2009.8
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