NHKの大河ドラマ「風林火山」に登場した由布姫の墓は一度は訪ねたいと長らく思っていたが、ようよう訪ねてみると、そこに墓はなく供養塔のみが祀られていた。墓は現在もなお所在不明とのことである。由布姫はこの地を治めた諏訪氏の頭領、諏訪頼重の娘であり、頼重が甲斐の武田信玄に敗れ自刃した後は、こころならずも信玄の側室となり、武田家滅亡の宿命を背負った「武田勝頼」を生むことになる。その後、25才の若さで生涯を終えるまでの短い日々を幼い勝頼とともに諏訪湖を一望するこの小坂観音院で過ごした。「由布姫」とは井上靖が小説「風林火山」で命名した名であり、長野県上諏訪生れの新田次郎は小説「武田信玄」の中で「湖衣姫」と命名している。私は地名からとった「諏訪姫」という名で記憶してきたが、地元では「諏訪御料人」と呼ばれることが多い。
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