未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
国営アルプスあづみの公園 / 長野県大町市
近代化の波
北アルプス山麓に平成21年7月18日に開園したばかりの国営自然公園である。かっては人影途絶えた蝉の声だけがこだまする何の変哲もない山麓であったのであるが、このような公園となることなど想像もしないことであった。近代化の波もここまで押し寄せて来たということであろう。
開園を祝した野外コンサートはあいにくの雨模様にもかかわらず、今人気のジェロが来園するとあって大変な人出であった。幸いにもコンサートが始まる頃には雨もあがり雲間から陽も射してくれた。アメリカのピッツバーグで生まれた青年が紆余曲折を経て極東島国の森林公園で演歌を熱唱することは希有な出来事なのであろうが、それいじょうに、原始以来の自然のリズムに明け暮れてきたアルプス山麓に住まう山川草木、森羅万象にとってみれば、まさに驚天動地の出来事であったにちがいない。
帰路、公園を囲んで敷設された自動車道路を渡る野生猿の一団に遭遇した。ボス猿であろうか・・・一団が渡り終えるまで、こちらをじっと見つめている。雨に濡れたそのボス猿の赤い表情が深く印象に残った。
2009.7
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