Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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鹿島槍黒沢高原〜青木湖 / 長野県大町市
蝉の声だけが
 大町市街西方に位置する大町温泉郷から鹿島川の谷沿いを北上すると鹿島槍黒沢高原に至る。途中に点在する集落は人知れず谷に抱かれひっそりとして「カクネ里(※)」の雰囲気を醸し出している。この高原はまた「サンアルピナ鹿島槍スキー場」という呼び名でスキーヤーにはよく知られているが、夏とあってみれば、人影ひとつなく静まりかえっており、あたり一面、蝉の声だけが、じりじりするような陽射しに照らされた高原の大地にとぎれることなく降っていた。
 高原からの曲がりくねった急坂をくだると青木湖にいたる。青木湖は木崎湖、中綱湖とあわせ「仁科三湖」と呼ばれ、青木湖は最も北に位置する。フォッサマグナの上にできたこれらの湖は地質学的に大変貴重なものとされ、日本列島誕生の謎を秘めているといわれている。中でも青木湖の透明度は高く、水深は58mに達し、流入河川が無いにも関わらず、水位が維持されていることから、湖底にかなりの量の湧水があると考えられている。
※) しらべて見ると「鹿島川源流」は平家の落人が隠れた本当の「カクネ里」であった。直感とはまさに畏るべきものであることを教えられた。
2009.7

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