その童話館は黒姫山と妙高山の山懐に囲まれ雄大に広がる黒姫高原の小高い丘の上に立っていた。建物はまさに童話風であり日本を意識しなければ北欧の片田舎にいるような気にさせられる。童話館の南側には、この黒姫高原をこよなく愛した絵本画家「いわさきちひろ」が建てたアトリエ(黒姫山荘)が移築されている。ちひろは生前、このアトリエで絵本の制作をおこない、宮沢賢治の花や草木にまつわる童話を集めた「花の童話集」や万葉集の秀歌150首を紹介した「万葉のうた」は、この黒姫で描かれ、「わらびを持つ少女」や「わらびと山つつじ」、「山里のスミレ」などの作品には、黒姫の自然が息づいているとのことである。また未完となった遺作「赤い蝋燭と人魚」もこの山荘で描いたとのことである。
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