豊科近代美術館を囲む庭園内にあるバラ園に今年も色とりどりに見事なバラが咲いた。一年を通して幾度となくこの庭園を訪れる私は、そのバラの花を咲かせるために、春夏秋冬、晴れの日も雨の日も、倦むことなく精魂込めてバラ園の手入れをしてきた人の存在を知っている。かかる人の努力は、この1〜2週間の「この日のためだけに」費やされ、来訪者の喜びの笑顔によって報われるのである。この時期を過ぎると再び庭園には静寂が訪れ、思索し、散歩するに最高の空間となるのであるが、それはまた来年に向けて見事なバラを咲かせるための作業の始まりでもある。
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