2009年4月5日から5月31日までの57日間、信濃善光寺は7年に1度の「御開帳」でにぎわっている。普段は宝庫に安置されている前立本尊がこのときだけは間近に拝することができるのである。本尊中央の阿弥陀如来の右手に結ばれた「金糸」は、「五色の糸」、「白い善の綱」を経て、本堂前の「回向柱」に結ばれており、回向柱に触れることは、前立本尊に触れるのと同じことであり、その功徳ははかりしれないといわれている。私が訪れたこの日も回向柱の前には日本各地から訪れた参詣者が長い列をなしていた。ちなみに前回の期間中参拝者は約600万人であり、今回はそれを上回る予想であるという。もっとも前立本尊はご本尊の身代わりとして鎌倉時代に造られたものであり、真のご本尊である善光寺如来「一光三尊阿弥陀如来」は、白雉5年(654)以来の秘仏となっている。この善光寺如来が山深い信濃の地にいかにして将来されたのかは、拙稿
「 安曇古代史仮説(安曇野の点と線)」
に詳しい。
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