長野冬季オリンピックではこの会場を訪れる機会はなかったが、スピードスケート会場として世紀の興奮に沸いたアリーナである。外国選手に比して子供のごとく小柄な清水宏保選手の金メダルの表彰台での勇姿や、大会直前でのスラップスケートへの転向がうまくいかずに涙をのんだ堀井学選手の姿が今でも脳裏に浮かんでくる。あれからもう11年の歳月が流れたことになる。今日ようようにしてここにたどり着いた私を春の夕陽を浴びたオリンピックアリーナが静かにむかえてくれた。
※)長野オリンピックアリーナ「エムウェーブ」は1998年に開催された冬季オリンピック大会でのスピードスケート競技会場として、冬季パラリンピック大会では開閉会式場、アイススレッジスビードレース競技会場として使用された。信州の山並みを連想した屋根が、M字型を波のように連続させていることから、「エムウェーブ」の愛称が付けられた。木造吊り屋根として世界最大級の規模を持つ、長さ230m、幅160mの建物。
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