未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
開田高原 / 長野県木曽郡木曽町
いまだにその先が
開田高原へは長らく行こうとは思って、行けなかったところである。考えてみるに、それは木曽谷の障壁があったからかもしれないし、あるいは、かって若かりし高校生の頃、島崎藤村の「夜明け前」を読もうとして、最初の数ページで投げ出した後遺症が残っているのかもしれない。「木曾路はすべて山の中である」で始まる長編小説は、いまだにその先が始まらない。そのためか、御嶽山の麓に広がる開田高原は異次元の空間であり、放牧された木曽駒の姿も、どこか遠くの世界のようである。
2008.7
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