重要文化財に指定されている旧家屋である。鉢伏山の山腹に連なる高台に位置し、松本平の眺望が西に広々とひらけている。周囲はのどかな田園風景の中にあり、そのことは古今変わりないのではないか・・・と思う。春まだ遠い弱い陽射しにつつまれ、昼下がりの静寂の中にたたずむ古屋敷の風情は、ことのほか印象的であった。
※)馬場家の伝承によれば、武田信玄の家臣馬場美濃守信春の縁者が先祖とされ、天正10年(1582)頃この地に住みついたとされている。馬場家は屋号を「古屋敷」といい、江戸時代には広大な田畑を所有していたほか、高島藩主・諏訪氏と親密な関係を持つ特別な地位にあったという。平成4年(1992)に、現在の当主である馬場太郎氏が、屋敷地の西半分とそこに建てられていた主屋などの建物を松本市に寄附し、松本市が復元修理工事を行ない、平成9年(1997)に松本市立博物館の附属施設として開館したとのことである。
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