伝説の巨人「でいらぼっちゃ」は小高い丘である室山の頂に立っていた。土地に伝わる民話では「でいらぼっちゃ」は雲をもしのぐ大男で、安曇野に来たりて、住み良い平らを造っていたと言われ、その仕事の途中、服についていた土がポロリと落ちてできた山が「室山」だという。ポロリと落ちた一片の土塊が山になるとはこの巨人の大きさの桁が知れようというものである。だがこの巨人のユーモラスな魅力はどうしたことか・・・。頂上に立つ巨像の顔を眺めているうちに、本当にそのような巨人がかってこの地にいたように思えてきた。そして今日も彼が自ら造った(造成した)松本の平らを満足そうに眺めているのである。時空を越えたスケールの大きい話である。
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