未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
本を読まない時代
巷間、本を読まなくなったという嘆息が頻繁に聞こえてくる。その理由はさまざまあろうが、ひとことで言えば読む意味が見いだせないからであろうし、さらに付言すれば現代の社会システムそのものが本を必要としないからである。
今まで本が担ってきた「知の習得」の手立ては、インターネットやスマートフォン等々の情報機器の普及で一変してしまった。これらの器機は本に較べて「内容が豊富」で、「項目選択がスピーディ」で、「携帯性に優れ」、「多機能」であり ・・ 等々と格段の優位性をもっている。これらの優位性をまえにして本を読めと言うほうがあるいは無理な話なのかもしれない。 むしろそれは必然の帰結であろう。
今や本は「話題作り」のツールであって、各々が読むものではなくなってしまったのかもしれない。また本に求められていた「人生を知る」という最大の存在意義も現代社会の価値観の変質とともに低減してしまったのかもしれない。
かって語られた人生の箴言はかっての社会システムでの有意性であって、現代の社会システムではその有意性はないとする感受性である。 新しき時代では新しき箴言が要求されるというわけである。
2016.12.13
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