かくなる囲い込みは、その温泉街にある旅館やホテルがフロント・ロビーに土産物の販売コーナを設けるところから始まる。やがて、それにカラオケボックスが加わり、さらには寿司やラーメンの屋台が加わる。 「我が旅館で
我がホテルで すべては用意されています 外へ出て行く必要はありません」という手法である。 そうなれば賑わっていた温泉街から宿泊客の姿が消えるのにそう時は要しない。 宿泊客の姿が消えれば、温泉街にあった土産物店、風俗店、射的屋、寿司屋、ラーメン屋
・・ 等々が消えていくのもまた必然の帰結である。 山中の一軒旅館や一軒ホテルであればまだしも、〇〇温泉に来る観光客はその〇〇温泉がもつ固有の風情(その多くは温泉街の風情であるが)を求めてやってくるのであって、旅館やホテルを求めてやってくるわけではない。 温泉街から風情が消えた〇〇温泉に客足が遠のくのは無理からぬことである。 結局、宿泊施設としての旅館やホテルが「自らの利益最大化」を求めたがゆえに、〇〇温泉全体が衰退してしまったのである。
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