Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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その創作は売れますか
 あらゆる情報が地球上を飛び交う現代において、何事かを創作しようとしたら、その何事かをその情報から引用することは徒労に逸する。
 オリジナリティ(創作)とは、パーソナル(独自)であるということである。 であれば自らの脳裏から発した創意を自らの言葉で語らなければならない。
 情報化時代はあらゆる情報を容易に入手することができる。 だからといって容易に創作できるわけではない。 二番煎じの創作をもって、自らの人生を前に進めることなどできない。
 創作とは衆に語る前に、自らに語らなくてはならない。 だが現代の創作は、自らに語るまえにまず大衆に語りかける。 なぜなら創作の背景が「創作の商品化」にあるからである。 「その創作は売れますか」という経済至上主義である。
 確かに、売れることで作家自身の経済的生活は豊かになるかもしれないが、作家自身の精神的生活は日増しに貧しくなり、やがては痩せ衰え枯渇してしまう。
 創作がめざすものは「創作の商品化」ではなく、自らの人生に反映させる「創作の体現化」である。 自らの人生を救うことができない哲学に、いったいどのような意味があるというのであろうか?

2016.08.08


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