星霜16年を経て今読み返すと事態は予想を超えて進んでいることが自覚される。当時の世相に漂っていた閉塞感の解決策として提起した核心は「・・
工業社会の発展により物的ツールの開発が極度に先行したのに対し、知的ツールの開発が立ち遅れているからに過ぎず、この立ち遅れた知的ツールの発展が追いつけばこれらの問題はなんなく解決されるであろう
・・・」というものであった。 だが今問題にされていることは、その「知的ツール」を創りだすのが人間の頭脳ではなく、「人工知能」というコンピュータ化された頭脳に成り代わっていくところにある。 本稿末尾に置いた
・・ この2つの道具を縦横無尽に駆使し、人間にとって真に豊かな生活を発展させることこそ、万物の霊長と尊称される人類の真骨頂であろう
・・ とする結言そのものが根底から揺らいでいるのである。
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