静かな山麓にたたずむささやかな記念館といった外観であったが、館内には美空ひばりに関するありとあらゆる資料(映画・公演のポスター、パンフレット、チケット、各種レコードとジャケット、映画・舞台で使用された衣裳、CD、DVD、ビデオ、新聞、雑誌、書籍、直筆の原稿、書簡等々)が所狭しと展示されていた。これらのおびただしい資料の数々は館長(小沢さとし)個人が収集したものがもとになっているのであるが、日本各地の美空ひばりファンから寄贈されたものも多数含まれているという。小沢さんは物静かでひかえめ、ロマンスグレーをその身に湛えたひとであった。美空ひばりとは仕事というよりは麻雀仲間であったことを楽しそうに話してくれた。仕事を離れて見せた彼女の生き生きとした「笑顔」が目に浮かぶようであった。当時、小沢さんは東京で童謡の作詞のような仕事をしていたようであるが、なにゆえに美空ひばりと懇意になったのかの話はなかった。だが美空ひばりを敬慕している思いの深さはひしひしと伝わってきた。
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