エントロピーは別名「曖昧量」とも呼ばれる。エントロピーが増大することは、この曖昧量が増加することであり、この世の万物事象は時間経過とともにカオス化(混沌化)し、ますます曖昧に、複雑に、でたらめになっていくことを示している。例えて言えば、蟻が詰まった缶の蓋を開けて蟻を外に出すと、その蟻を収容するためにはさらなる大きな缶を必要とするような構図であり、東西冷戦で地球上が混乱していた時代、冷戦が終われば混乱が収束するだろうと誰しも思っていたが、冷戦が終結してみれば、混乱が収束するどころか問題はさらに複雑化して混乱が拡大していくような構図である。つまり、熱的反応が進行するごとにエントロピーは増大していく。簡潔に表現すれば、「問題の解決は新たな混乱の始まり」ということである。
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