この世は権力や金力で自由になるように見えて、その実、よく考えてみると1個の生物にとってはそれほど自由ではない。世の権力者や金満家がいくら自由になるからといって、身を超えて横暴を極めれば、たちどころに災いはその身に及んでくる。同様に自由になるからといって、身を超えて過食不養生に終始すれば、高いツケがその身に回ってくる。かくタンタンと生きることはなかなかに難しい。放置すれば欲に駆られてガツガツと生きることに逸してしまう。
しかるに・・現代人はそのことを知ってか知らずか、この身の破綻に向けて驀進中である。この世で栄華を極めても、それは「張子の虎」のごとく空疎であり、「砂上の楼閣」のごとくに空虚である。1個の生物にとっての自由はそこにはないのである。