人はいつも不安を抱えて日常を生きている。その不安の大半は未来における不安である。身によからぬことが起きるのではないか?・・この日常が破綻してしまうのではないか?・・不安の種はことかかない。だが人知をもって未来を予測し、制御できるほどに宇宙は単純ではない。宇宙の果ては?・・時間の始まりと終わりは?・・宇宙構造の根源的な疑問が解明されていない以上、この宇宙のことを「分かっている」と言えるような人はどこにもいない。
その状況を考えれば、未来における不安の根拠など一朝にして霧散してしまう。未来において身によからぬことが起きるのかどうかなど「誰も分からない」のである。未来に対する不安の根拠は、身の内なる心の中にあるのであって、身をとりまく宇宙にあるのではない。
では未来からやって来るさまざまな出来事はいかなる意味があるのか・・?
結論から言えば、人が考えるうえでの意味などはない。しいてこじつければ、「宇宙にとって必要だから」という以外に妥当な答えは見あたらない。宇宙の都合で起きる出来事に「かってに人が先回りしてとやかく詮索するのはやめなさい」というのが「宇宙の心」であろう。