Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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留置かまし大和魂

 維新の英雄、吉田松陰は処刑直前に獄中で書き上げられた「留魂録」に、以下の辞世の句を遺している。
               身はたとひ 武蔵の野辺に朽ぬとも 留置かまし大和魂

 確かに松陰の魂は身が消滅したあとも今なお生き続けている。この世は「意識」と「行動」で構成されたPairpole(ペアポール)であるから不思議なことではない。だが現代社会では松陰のようなことにはならないであろう。松陰における「意識」とは行動するように意識する意識であり、決断するように意識する意識であって、現代社会における意識のような行動をともなわない意識や、決断をともなわない意識とは別次元のものである。行動をともなわない意識や、決断をともなわない意識とは、よく言えばメルヘンのような、わるく言えば妄想のようなものである。

 松陰の「Pairpole宇宙」がこの世に出現し得たのは、確固とした意識と行動のPairpoleが、ひとり松陰の中で奇跡のように結晶化したがゆえである。

2014.05.16


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