投票率46%(過去3番目の低さ)の東京都知事選が、どのような民意を表しているのかはわからないが、ともかくも結果は、自民党、公明党が推した舛添氏の勝利に終わった。世相はもっぱら反原発を掲げた細川・小泉両氏の敗北と評しているのだが・・。
選挙戦終盤、テレビ画面に時ならぬ吹雪の最中、街宣車の上で声をからして演説する2人の元総理の映像が流れたあと、場面は小泉進次郎氏の会見に切りかわった。
進次郎氏のコメントは秀逸であった。「あの2人は知事選を闘っているというよりも、何かもっと他のものと闘っているように感じる」と表現。「それは何ですか」との記者の質問に、「わからない」と答えた。
おそらく2人の元総理にとっては、都知事選に勝利することは本当の目的ではなかったのかもしれない。そもそも総理経験者にとって、東京都知事になることにどのような動機づけがあるというのであろうか・・おそらくは、老骨にむち打って「民衆の前に立つこと」にこそ意味があったのである。権謀術数に長けた老政治家からすれば、都知事選に勝利する方策は多種多様にあったはずであるが、それに向けて努力がなされた形跡はない。それどころかわざと負けたふしさえある。
おそらく目的は「次のステージ」にある。かってな私説を描くことをお許しねがえれば、それはやがて迫り来る「日本の危機」に対応するためである。その時はおそらく与党も野党もない。
私には進次郎氏を背負って立つ2人の老政治家の姿が彷彿と浮かんでくる。おそらくそのことをもっともわかっているのは安倍首相その人なのではあるまいか・・つまり、表の見える世界では舛添氏が勝利したのであるが、その実、裏の見えない世界で勝利したのは細川・小泉両氏であったのである。