機会と人生 |
機会利益と機会損失については「第760回」で書いた。機会利益とは機会に遭遇することで得る利益、その反対が機会損失である。だが機会と遭遇することとは何か・・?
それは人生そのもののようである。人間にとって最も根源的な機会とは、この世に生まれることであることに誰も異論はないであろう。この根源的な機会には自らが選択できる余地はなく与えられるだけである。だがその後において遭遇する人生の機会もまたよく観ると自らが選択しているように見えて多くは与えられた機会であることが自覚される。
人がそこで(空間)、そのとき(時間)、何に遭遇するかは「時空のめぐり逢い」である。そのめぐり逢いはその人のみの機会であって「唯一無二」のものである。日本の片隅にいる者が、同時に米国の片隅にいることはできない。同様に大工として生きる者が同時に首相として生きることはできない。できるのはいずれか一方である。
これらを考えていくとやがて両者の機会に優劣はないことが自明となる。なぜならば、一方の機会利益は他方の機会損失であり、一方の機会損失は他方の機会利益であるからである。それはまた「人間万事塞翁が馬」の真意でもある。
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2013.09.15 |
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