心は死んだ! |
物理学における「インフレーション理論」が社会学において成立するのかを思考した「社会学的インフレーション理論(第721回)」では、社会のインフレーション速度(膨張率)を決定するものは情報化技術のもととなっているコンピュータの演算速度やネット回線のデータ転送速度の上昇係数(上昇率)であろうとした。
言葉の価値低下はその上昇率の急速な上昇によって引き起こされた言葉の過剰流通に起因した結果である。その結末として、物理学的インフレーション理論の行き着く先が、熱的均衡状態である「熱的死」であるのに対して、社会学的インフレーション理論では、虚無的で無感動な「心的死」であろうとした。
かって哲学者ニーチェは工業社会が発展していく中で「神は死んだ!」と叫んだ。そして今度は情報社会が発展していく中で、人は「心は死んだ!」と叫ぶことになるのかもしれない。神が死に、心が死んだあとにのこされる世界とはいったいいかなるものなのであろう。 |
2013.08.19 |
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