あるがままに |
現代社会システムの中枢は情報をもとにしたコンピュータ制御で構成されている。問題は情報で社会システムの制御が可能か否かである。世界最高のコンピュータを駆使しても、今日の情報から明日の社会をしかと予測できるか否かは、はなはだ疑問である。だが目の前の現実は、コンピュータに入力すべき情報集めに奔走し、何らかの未来を抽出しようと、人々は悪戦苦闘の日々をおくっている。結果が、はかばかしくないと、あの情報が間違いだった、この情報が有効であったなどと、あれこれと悩み、一喜一憂を繰り返す。これで人間が神経衰弱にでもならないほうがおかしい。
コンピュータはやはりできの悪い機械なのかもしれない。コンピュータを全能と考えるのは、あるいは人間としての自助努力の放棄であり、職務怠慢の証なのかもしれない。
ビートルズ往年のヒット曲に「Let it be」という曲がある。意味は「あるがままに」である。人間はもう少し自らを信頼すべきである。わからないことはわからないとして、そのままにすることは、ある意味、人間としての英知であり、能力でもある。あるがままに生きていれば、そのうちわかるときがくるのであり、さまざまな状況が訪れようと、あるがままに受けいれればそれで事足りているのである。
それは生物としての「あまりに当然な自明性」であり、その自明性を我々はどこかで見失ってしまったのである。 |
2013.06.12 |
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