自信喪失のメカニズム |
価値観が多様化すると人は生きる自信を失う。「風が吹けば桶屋が儲かる」ごときの話であるが以下にそのメカニズムを考えてみる。
価値観が多様化するとは個々人で価値観が異なるということである。するとよほど独断的人格ではないかぎり、自らの価値観が正しいのか正しくないのかを考え始める。それはやがて自らの生き方が正しいのか正しくないのかという懐疑を発生させ、さんざ悩んだあげく、ついには自信喪失に至る。この自信喪失の原因は「自由な価値観」が社会で認められたことにある。自由な価値観が認められていなかった社会(時代)では、価値観が正しいとか正しくないとかを考える者は少なく、当然にして自らの生き方が正しいとか正しくないとかを悩む者も少なく、自信喪失に陥る者も少なかったに違いない。かような自由な価値観が許される現代社会の中で、生きる自信を獲得した人とは、かかる思考の壁を突破し、かかる懐疑を吹き払い、かかる悩みを超克しえた者ということになるが、それは図書館の蔵書を全冊読破することを個々人に強いるような過酷さであって、常人にはとうてい実現不可能のように思えるのだが・・・。
※老婆心ながら付け加えると、私はここで自由な価値観が拘束されていた封建的社会がいいなどといっているわけではない。単に「現代人がなにゆえに自信喪失に陥るのか」という「メカニズム」について思考をめぐらせたのである。 |
2012.9.10 |
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