危ういかな人間 |
情報化社会とは自己喪失の社会でもある。人々が氾濫する情報に依存するにしたがい個人としての独自性(アイデンティティ)が失われていく。
人間は限られた地域性(環境)の中で生活している。その限られた時空間で必要とされる情報は本来それほど多いものではない。だが現代社会ではその限られた生活環境で必要とされる以上の情報が供給される。その過剰分はいうなれば「蛇足」ともいえるが、単なる蛇足であればそれほど害はない。しかし限られた生活環境が圧迫されるようになると話は別である。その蛇足は有害に転ずる。その害毒の様相は今やあちこちに散見される。目前の生活をさておいての意味なき情報収集、中毒症状を呈する間断なき他者との交信・・等々。
ついには現実世界(リアル)としての生活環境は喪失し、意識のみが仮想世界(バーチャル)に住み続けることになる。危ういかな人間・・自己喪失まであと一歩の距離である。 |
2011.12.09 |
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