山中鹿之助 |
戦国武将、山中鹿之助は「願わくば、我に七難八苦を与えたまえ」と月に祈ったという。かくなる鹿之助の悲壮な願いの本意は、この世で起きるあらゆる出来事に逃げることなく我が身に受けて対処してみせるという毅然たる覚悟にあったのではなかったか・・また葉隠れの「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」という覚悟も同様、この世で起きる出来事に逃げないことを決然と宣言したものではなかったか・・・。いうなれば武士とは、この「逃げない」という覚悟があればこその者のことではあるまいか。ちなみに武士は道中にわかに雨が降ってきても、ばたばた走ることなどせず、道の中央を胸を張って濡れて歩いたという。
ひるがえって現代人を眺めれば、この世で起きる出来事に一喜一憂、戦々恐々として逃げ回ることに奔走している。むろんのこと雨が降ってくれば、頭に手をかざし、尻をからげて、一目散に走り出すことはまぎれもない。
つまり、武士と現代人の根本的な違いは、この「逃げない」という覚悟にこそある。この覚悟があったがゆえに、日本の「サムライ」は、世界から畏敬の念をもって迎えられたのである。 |
2011.9.03 |
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