知識は物体を構成する「部品」であり、知恵はその部品を連結させる「アイデア」である。また、知識は物体を構築する「道具」であり、知恵はその道具を使用する「手腕」である。
いくら優れた部品を何万点と揃えても、その部品を「有機的に連結させる」アイデアが「設計者」になければ、生まれるものは何もない。また、いくら優れた道具を山のごとく揃えても、その道具を「巧みに活かす」手腕が「製作者」になければ、生まれるものは何もない。
現代は、例えて言えば、ありとあらゆる優れた部品(部材)や道具が、倉庫には膨大に蓄えられ揃えられているにもかかわらず、その部材を「生かすアイデア」を持った監督や、その道具を「活かす手腕」を持った職人がかいもく見あたらない状況である。
今、最も必要とされるものは「知識」ではなく「知恵」である。
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