アインシュタインの相対性理論によれば、速度が光速度(30万Km/s)に近づくに従い、時間はゆっくり流れ、光速度となれば時間は停止し、その光速度を越えると時間は逆に(つまり、現在から過去へ)流れることになる。
しかし、これはある限度以上の速度の場合であって、私には日常での速度(例えば飛行機の速度、新幹線の速度、自動車の速度等々)では、その理論とは逆に、速度が速くなればなるほど、時間は速く流れるように感じられる。
日常速度では速度を上げれば上げるほど、視界は狭くなり、周りからは音が消えていく・・・新幹線の車窓からは、昼寝をしているお父さんの姿や、蝉の声をとらえることはできないが、鈍行列車の車窓からは、それのみか洗濯をしているお母さんの姿や、谷川のせせらぎまで、とらえることができる・・・また車で、とある街を通過しても、その街の臭いや、笑い声をとらえることはできないが、ゆっくり歩けば、その街の臭いや、笑い声はおろか、路傍に横たわる犬猫の顔から、漂う空気まで、とらえることができる・・・・。
現代人は速度を上げることで、多くの風景、多くの声、多くの空気、多くの・・・を失ってしまったのである。
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