この世の万物事象の真理を次々に帰納すれば、やがてはたったひとつの「大真理」に帰納されるであろう。だが問題は帰納された大真理の演繹である。
宇宙を帰納した「大真理」はこの世の頂点に「たったひとつ」しか存在しないが、宇宙を演繹した「不明」はこの世の局所に「無限」に存在する。
無限の不明とは、換言すれば「この世の不可解」であり、宇宙の演繹とは、この無限の不可解への挑戦である。
生きるとは結局、帰納された「たったひとつの大真理」を、宇宙局所に散在する「無限の不明」に対し、有効に演繹することである。
王陽明が言った「知行合一」とは、かかる「花も実もある」宇宙の帰納と宇宙の演繹のことであろう。
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