情感から言葉が生まれるのであり、言葉から情感が生まれるのではない。
情感は姿形のない混沌であり、この目鼻のない混沌を整理整頓し、取捨選択したところに言葉が顕われるのである。
言葉は姿形なき情感に形を与えるものである。
評論家、小林秀雄は、悲しみの情感によって、体からあふれ出る形が、涙であると比喩した。つまり、あふれ出る涙が言葉であると・・・。
描くべき情感がないままに描く画家・・著すべき情感がないままに著す作家・・等々、およそ本末転倒である。