現代社会世相を特徴づける諸問題の「根源的原因」は、極言すれば「人類の急増」である。有史以来、地球上生命の栄枯盛衰における根源的原因は、それらの生命の「大繁殖」にあったと言われる。
地球上いたるところで化石として発見される三葉虫は、古生代の始め(約 5億 7000万年前)に出現し、古生代の終わり(約
2億 5000万年前)に絶滅したが、その原因は大繁殖した三葉虫が地球上に蔓延したことによるとされている。古生代は別名「三葉虫時代」とも言われる。
現在、地球上に生きる人類の員数は約 60億人と言われるが、産業革命以前は約 6億人であり、ほんの 300年間で 10倍に増加した。さらに今後の西暦
2050年には、約 90億人に達すると予想されている。ちなみに現在の世界人口の 60億人は、有史以来、地球上に存在した全人類の員数の半分に相当するといわれる。
より身近で言えば、縄文時代の日本列島における平均人口は 5万人程度であったと言われる。(現在の日本国人口は約 1億 2000万人である)
21世紀人間社会に惹起される諸問題の根底には、このような人類の急激な人口増加の影響が、そのいずれにも必ずや見出されることになろう。
以上のことは、アメリカを始め、世界の先進各国は先刻充分承知の上で国家戦略を遂行中である。経済問題、自然環境問題、食料エネルギ問題、石油利権、イラク戦争、テロ対策・・等々、すべてしかりである。
もしこのような人類の大繁殖を「普通である」と考える人がいるとするならば、その人はよほど「普通ではない」考えの持ち主であると言わざるをえない。現代が後の世において、絶滅した「三葉虫時代」ならぬ、絶滅した「人類時代」などと呼ばれないようにしたいものではあるが・・・。
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