Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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空海の発見

 空海が思考煩悶の果てにたどりついた悟りとは、眼前に展開するこの世(現実世界)が「自分そのものであることの発見」ではなかったか・・?

 彼がこの世のいたるところで「主体」でありえた秘密とは、まさにこのような宇宙構造理解にあったのではあるまいか・・?

 もちろん、この世のすべては「相対性」であるから、眼前に展開するこの世を空海のごとく「自分そのもの」と考えるのではなく、一般的常識人が考えるごとく自身をこの世を構成する「ひとつの構成部品」としてみても何ら支障はない。

 前者は「天動説的」なスタンス、後者は「地動説的」なスタンスである。

 宗教裁判で「それでも地球は回っている」と断固、地動説を唱えたガリレオは偉大な科学者ではあるが、図らずも、その自らの地動説によって、その後の人類を、宇宙の単なる構成部品にしてしまったのである。

 以降、我々はいまだ「宇宙の主体性」を取戻すには至っていない・・・。

2004.7.16

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