今までの社会では「ゼネラリスト」が主流であった。しかし、コンピュータが社会の末端まで普及すれば、代わって今度は「スペシャリスト」が主流になる。
ゼネラリストが主流であったのは、社会のシステムが「集団指導体制」であったことによる。集団指導体制とは軍隊組織に似た階級制システムであり、その階級間における権限の統御管理が、かかるシステムに要求される最優先課題であった。
この統御管理を行うのがゼネラリストであり、要求される資質とは、「浅くとも広い知識」(つまりは、一般教養と呼ばれる知識)と、階級間を統御管理する「調整能力」であった。
しかし、コンピュータネットワークが社会の至る所に張りめぐらされる状況ともなれば、様相は一変する。およそ階級制などという機能は意味を喪失してしまう。
コンピュータネットワーク社会で要求されるのはスペシャリストであり、要求される資質とは、「狭くとも深い知識」(つまりは、専門知識と呼ばれる知識)と、他者との相違を主張できる個性や独創性を基とした「創造能力」である。
以上の主役交代を簡潔に言えば、コンピュータに置換え可能なゼネラリストの資質はコンピュータに置換えられ、いまだコンピュータに置換え不能なスペシャリストの資質が、今後はクローズアップされるということである。
だがスペシャリストとて安心はできない。いずれやがては、その置換え不能なスペシャリストの資質である個性や独創性さえも、コンピュータに置換えられてしまうともかぎらないのである・・。
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