Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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損と得
 公正無比な「宇宙の天秤」で測った場合の損得とはいったい何か・・?

 ある者の「損」はある者の「得」であるとするのが、経済学で言う「ゼロサム理論」である。つまり、社会の中で発生する損と得を合計すれば「0」となるという理論である。

 これは物理学で言う「エネルギ保存則」の経済学的な発現態様であるとも言える。エネルギ保存則は、この宇宙ではエネルギの態様は変化して行くが、エネルギの総和は常に一定に保たれるというものであり、物理法則の中で最も基本的なものである。

 経済上の損得も、エネルギの変化態様には違いなく、その損得交渉において、エネルギの総量が増減することはない。また私の言う「ペアポール」の考え方からしても、損得は陰陽のペアポールであり、いずれが陰陽かは、相対的なものである。1枚の紙の表裏は、いずれかを表とした場合、いずれかが裏となるにすぎない。同様に損得もまた、いずれかを損とした場合のいずれかの得にすぎない。
 結局、損得は時と場合によって異なる相対的な人間認識による区分けにすぎず、宇宙の天秤における測量結果では同じである。それはまた、ペアポールで言う「あざなえる縄の法則(禍福一体の法則)」を説明する。

 人間の万事は塞翁が馬なのであり、禍は福であり、福は禍である。損は得であり、得は損である。巷間、口角泡を飛ばし、その区分けに奔走する、この世の損得の内実とは、人間がある一面から眺めた場合の偏狭な価値観にすぎないのである。
 それが「人倫の天秤」の内実であり、また測量結果でもある・・。

2004.1.27

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