世界を認識化(抽象化)することにより生まれた権力とは、例えて言えば羊の群を統御する羊飼いの機能であり、羊の群が人間社会に、羊飼いが権力者に匹敵する。
羊の群は自己意思を羊飼いに委ね、代わりに自己保存が保証されることを黙契している。
しかしながら、自己意思を放棄して、自己保存の保証を獲得することを目的とする集団とは、言葉は悪いが、言うなれば「畜群」と同じであり、両者の間に別段の差異を認めることはできない。
もし、畜群と同列に置かれることを潔しとせず、自己意思の獲得を目指す者は、これとは逆に、自己保存の保証を放棄する覚悟が必要である。
これが現実世界に構築された現実社会の権力構造の実体である。
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