人類が生来の動物から離脱するために行った最初の行為は「世界を認識する」ことであった。
世界を認識するとは、自己の回りに存在する得たいの知れない何ものかを「抽象化」することである。抽象化とはその得たいの知れない何ものかを、例えば文字に置換えることであり、図形に置換えることであり、数式に置換えることであり・・現代人が無意識に行っている日常茶飯のすべての置換えである。
認識化とは、つまりは得たいの知れない何ものかを、文字や図形、数式等で「仮に置換える」ことであり、そのものずばりを完璧に置換えたものではない。言うなれば「不完全な置換え」である。
現代人が観る世界は、これらの不完全な置換え(抽象化)によって構築されている「仮想的現実」、つまりは「仮想的構造物」である。
|