Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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大人物とは
 この世の不条理や不遇のひとつひとつに腹を立てていたのでは、人間、体が幾つあっても足りない。

 人間個々の欲求が、すべて「自己保存の法則」に従っている以上、相互の欲求のすべてが、ともに成り立つことは不可能である。ある人の欲求は、またある人の欲求を阻害することになるのは、必然の理である。
 この時、阻害された人は、阻害した人に対し、腹を立て、口汚くののしることになるが、そのののしっている人自身が、またある時、今度は阻害する側に立つことになる。

 自己の欲求を「主張」する人はまた、他者の欲求に対しても、「寛大」でなければならない。世の不条理や不遇に、いちいち腹を立ててはならないのである。

 大人物とは「この構図」をよく理解している人であり、いかなる不条理や不遇をも、笑って、「平然と腹に納める」ことができるのである。この大度量が、自己に幸いをもたらすとともに、また多くの他者にも幸いをもたらす。
 誰しも自分を非難する人よりも、自分を許容し、認めてくれる人を好きになるのは、必然のながれであり、このながれは、理屈ではなく、多く感情の問題なのである。

 つまり、人はその「理に従う」のではなく、その「情に従う」のである。

2003.6.09

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